Arantium Maestum

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ハムレットは角兜をかぶったか

最近ヴァイキングのことをよく考えている。

遠因かつイメージの第一資料は、幸村誠のヴァイキング全盛期を描いた漫画「ヴィンランド・サガ」である。私はこの漫画が好きで、けっきょく紙とキンドルどちらの媒体でも買い揃えてしまった。(移動中にも読めるので・・・)

同作者の「プラネテス」も同様に二回買ってしまった。こちらは宇宙でデブリを回収する掃除屋稼業の話なので、毛色はかなり違う(と見せかけて根本は似ているかも)。馬鹿なことをしている自覚はある。後悔はしていない。

近因としては、前述のTRPGマスタリングで、北方のゴブリノイドの文化や精神、風俗などをヴァイキングとモンゴルあたりに基づいたものにしようと考えているからである。TRPGほど歴史や社会学への興味を掻き立てるものはあるまい。とくにヴァイキングは奴隷貿易や戦闘的な思想をベースに、「魅力的だが現代的価値観では悪」という社会を描き出すのに適しているのではないだろうか。そもそも多分トールキンあたりはヴァイキングの獣性をオークに投影してたんじゃないかなぁ。

と色々と考えをめぐらせていたところ、ふと気づいたことがある。

ハムレット(シェークスピアの同名の悲劇の主人公)はデンマークの王子で、元学友で叔父のスパイであるローゼンクランツとギルダンスターンとともに、属国であるイングランドに送られる。ということは、まさにヴィンランド・サガで描かれている時代(エセルレッドがクヌートに負けてイングランドデンマークに属国化された頃)の話なわけである。ヴァイキングたちは11世紀後半までは存在していたらしい(「存在」が正しい単語か心もとないが・・・)ので、ノルマンディー公ウィリアムが征服王ウィリアム一世になった1066年はまだ彼らの時代だったはず。(そもそもノルマンディー自体もともとヴァイキングの末裔の国だけど)

つまり・・・ ハムレットはヴァイキングだったんじゃないか?角兜をかぶって「to be or not to be」か・・・

と、ここで「だからタクティクス・オウガで『ガン細胞』って単語が出てくるくらい多めに見よう」(シェークスピア劇なんて舞台がヴァイキングだろうがイタリアの都市国家だろうが、エリザベス朝イングランドにしか見えないじゃないか)という話に持っていこうと思ったのだが、調べてみたところさらに重大な事実が発覚した。

ヴァイキングって、角兜かぶってなかったらしい。なんでもあれはケルトの部族長が儀礼的にかぶるもので、ヴァイキングの集落などで見つかったことはないとのこと。じゃあ何をかぶっていたかというと、ベイヨー・タペストリーでノルマン人がかぶっているような、丸みを帯びたとんがりコーンから鼻の部分だけまっすぐ伸びてるようなやつ。まあ前述のとおりノルマン人はもともとヴァイキングだからなぁ。たしかにヴィンランド・サガでも角兜じゃなくてノルマンヘルムをかぶってたな。しかしそうすると、ヴァルキリーたちも角メットなしか・・・

ちなみにさらに余談だが、「ニューベルンクの指環」ってたしか元ネタはドイツの古い民話だったかと思うんだが、なんでヴァルキリーやら北欧神話の神々が出てきてるんだろう?歴史は謎が深まるばかりだ・・・ (ちなみに契丹って本来「キタイ」って読むらしいけどそれってもろにスキタイだよね?)