Arantium Maestum

プログラミング、囲碁、読書の話題

Lisp

読書メモ:The Rise of "Worse is Better"

逆説的でキャッチーなフレーズ「Worse is Better」の原点であるRichard GabrielのThe Rise of "Worse is Better"を再読したのでメモ。 概要 The Rise of "Worse is Better"は1989年にRichard Gabrielが書いた「Lisp: Good News, Bad News, How to Win Big」…

プログラミング言語における再帰の初出はLISPではなかった

ポール・グレハムの記事の一つにWhat Makes Lisp Different?というものがある: www.paulgraham.com ポール・グレハムらしくよく書かれていて、C言語などと比較した場合のLispの特徴をうまく捉えているように思う。 その中の一つが Recursion. Recursion exi…

論文メモ:Recursive Functions of Symbolic Expressions and Their Computation by Machine, Part I

John McCarthyの1960年に発表された論文Recursive Functions of Symbolic Expressions and Their Computation by Machine, Part Iのメモ。 背景 「Artificial Intelligence」という用語の名付け親であるMcCarthyが、自身が助手らと作ったLISP言語を世に出し…

非S式なRacket後継言語?のRhombusとShrubbery記法について

個人的に作りたい自作言語の構想というのは結構昔からあって、ありていに言ってしまえば「Pythonチックなインデントベースでスッキリした構文でモジュールまで含めたMLの意味論を持つ言語」となる。 ただしMLのような式ベースの言語が破綻しない構文というの…

LispKit Lisp処理系の実装 6:SECD抽象機械の状態遷移〜条件分岐、関数関連など

前回に続いてstep関数内の命令コードに対するパターンマッチを見ていく。 今回見ていくのは以下の命令コード: 条件分岐のSEL、JOIN スタックに値を乗せるLD、LDC、LDF 関数適用のAP、RTN 再帰関数のためのDUM、RAP プログラム停止のSTOP 条件分岐のSEL、JOI…

LispKit Lisp処理系の実装 5:SECD抽象機械の状態遷移〜リスト操作と比較・算術演算

前回の記事ではSECD抽象機械のメモリとレジスタを定義していった。今回(と次回)はSECD抽象機械が実際にどうやってプログラムを実行するかを見ていく。 SECDマシン上でプログラムを実行するということは、Controlレジスタcが指し示すコンパイルされたプログ…

LispKit Lisp処理系の実装 4:SECD抽象機械のメモリとレジスタ

前回はLispKit Lispの挙動を確認するためもあってASTを直接実行するインタプリタを実装した。これからはLispKit LispのプログラムをSECD抽象機械上で実行するために必要なものを揃えていく。 今回と次回はSECDマシン自体の実装の話。 SECDマシン SECD抽象機…

LispKit Lisp処理系の実装 3:インタプリタ〜条件分岐から関数適用まで

前回に続いてインタプリタの実装。今回はeval_の後半、IFによる条件分岐以降の項目を見ていく。 条件分岐のパターンマッチ 条件式を評価してその結果に対してパターンマッチ、分岐部分の式は片方しか評価されない。 case Cons(Alpha("IF"), Cons(e1, Cons(e2…

LispKit Lisp処理系の実装 2:インタプリタ〜変数から算術演算子まで

前回のパーサの出力するASTをそのまま実行するインタプリタを実装する。 インタプリタを実装する意義 「SECD抽象機械へのコンパイラ実装の前にインタプリタを作る」というのはHendersonのFunctional Programming Application & Implementationでの流れに従っ…

LispKit Lisp処理系の実装 1:パーサ

前回書いたとおりまずはパーサを実装する。 最近散々パーサ実装について書いてきてなんだが、Lispなのでかなりの手抜きパーサ。 字句解析 まずはトークンの定義: from dataclasses import dataclass @dataclass class Lparen: pass @dataclass class Rparen…

LispKit Lisp処理系の実装 序

純粋関数型Lisp方言であるLispKit LispのインタプリタとSECD抽象機械の機械語へのコンパイラを作成する。 タネ本はHendersonの「Functional Programming - Application & Interpretation」で、この本に載っているISWIMやPASCALのコードを大体なぞるようにPyt…

Shibuya.lisp #87 でKontlangについて発表した

もう一週間以上前になるが、Shibuya.lisp #86に続いて#87でもKontlangについて話してきた。 speakerdeck.com 内容としては kontlangの紹介 shift/resetのセマンティクスとkontlangにおける実装 マクロとモジュール shift/resetとマクロとモジュールを使ったm…

Shibuya.lisp #86 でKontlangについて発表した

「めざそう言語処理系の沼」の内容がようやく発表したところに追いついたので、遅ればせながら・・・ 5月28日のShibuya.lispがリモート開催されるということだったので、ひさしぶり(4年ぶりくらい・・・ 遠くに移ってしまったので・・・)に参加。 発表枠…