Arantium Maestum

プログラミング、囲碁、読書の話題

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

型推論を実装する その2 (型検査のある言語を作る)

前回登場したLETREC言語に型注釈と型検査をつけたCHECKED言語を実装する。 github.com 具体的には無名関数を定義するprocの仮引数、再帰関数を定義するletrecの仮引数と戻り値に対して型注釈を必要とし、その情報を元に型検査する。 型 CHECKEDで使う型は以…

型推論を実装する その1 (型なしの言語を作る)

Oleg先生のサイトのhttps://t.co/7F4vsWGgr7とhttps://t.co/ABdXWoAxcWをちゃんと読みたいと思っている・・・ 現在外堀を埋めている段階・・・— zehnpaard (@zehnpaard) June 23, 2019 とあるように、最近型推論や型クラスに興味があり、界隈では非常に著名…

OCamlで48 Hour Schemeをやってみる その5 (第九、十章)

Write Yourself a Scheme in 48 Hoursの最後の二章をやっていく。入出力と標準ライブラリ作成。 第九章:入出力 stdin, stdoutやファイルに対する入出力を実装する。 github.com 例によって「Haskellだとモナドが出現していろいろ型を頑張らないといけないけ…

OCamlで48 Hour Schemeをやってみる その4 (第六〜八章)

前回から続いて、REPL機能を追加し、変数と関数を定義できるようにする。 第四章: REPL REPLとはRead Eval Print Loopの略で、対話的にプログラムを入力・実行できる環境である。 この場合は Lisp>>> などといったプロンプトを表示してS式を受け取り、評価…

OCamlで48 Hour Schemeをやってみる その3 (第四章、五章)

第四章:エラーハンドリング 第四章の主眼はエラーハンドリング。 Haskellだとモナドでやるのが正しい作法なようで、型チェックの恩恵に与れる。その反面、一章を割いていろんな関数の実装と型注釈を変更していく必要がある。 OCamlだと例外を投げればいいの…

OCamlで48 Hour Schemeをやってみる その2 (第三章後半)

前回から続いてWrite Yourself a Scheme in 48 Hours第三章。 primitive関数適用の評価まで実装する。 github.com src/eval.mlというモジュールを新たに作った。 open Exp (* 省略 *) let rec f e = match e with | String _ -> e | Number _ -> e | Bool _ …

OCamlで48 Hour Schemeをやってみる その1 (第一章〜第三章前半まで)

こういうことを言ってしまった: これは宗教勧誘とかじゃなくて真面目に言うんですが、Lisp(処理系)ってある程度書けるようになるまでの学習コストがとても(?)低い。 https://t.co/OQPte4lm4I— zehnpaard (@zehnpaard) June 14, 2019 発言に責任を持つため…

let多相と型制約と型推論

こういう(けっこう前の)記事があって面白かった: no-maddojp.hatenablog.com 大変面白かったのと、何故こうなるのかが微妙に理解し切れなかったのと、で少し自分でも調べてみた。 ちょっと例を簡略化すると let f x = x in f 1, f true は型検査を通るけ…

ocamllexのlexerとmenhirのparserの間に任意のOCamlコードによる変換を挿入する

OCamlでパーサを書く場合 lexerをocamllexで書く そのlexerを受け取るparserをmenhirで書く というのが最近の鉄板のようだ。 let lexbuf = Lexing.from_channel stdin in let exp = Parser.f Lexer.f lexbuf in print (eval exp) というような流れ。 ocamlle…

OCamlで相互再帰な型を二つのModuleにわける方法二つ

Essentials of Programming LanguageをOCamlで実装するのをぼちぼちとすすめている。 前回LETを実装した時「式を評価した結果の値」を表す型とその型に対する関数を集めたValと「変数とそれに対応する値の対応関係を保持する環境」のモジュールEnvを作った。…

EoPLのLetlangをocamllex/menhir/duneで実装してみた

前回の記事の構成に従って、簡単な言語のインタプリタを実装してみた。 Essentials of Programming Languagesという本の最初に出てくるLETという言語で、機能としては整数値の引き算、0チェック、if式による分岐、let式による変数束縛。関数定義などはできな…