Arantium Maestum

プログラミング、囲碁、読書の話題

『アホでマヌケなプログラミング』読んだ

lepton著『アホでマヌケなプログラミング』を読んだ。

プログラマ(ゆるくプログラマ志望な人?)に「プログラマの実態」を紹介する本。

著者は企業の新卒向けプログラミング研修の講師などをよく務めていたらしい。「文系卒、プログラミング経験なし」の新卒人材をプログラマにしたててプロジェクトに投入する現場のこぼれ話がたくさん載っている。研修を受ける人々の話だったり、使われているプログラミング言語の話だったり、実際に行われているプロジェクトの内実・人間模様だったり。

出版されたのが2003年ということもあってやはり少し古い感じがするのと、そもそも「プログラミング経験なしの人材の大量投入」という個人的にはあまり関わったことのない現場についての話なのとで、あまり自分の実体験と合致する印象ではなかった。ただその分なかなか興味深かったことも確か。

2000年問題や銀行合併、はてはΣ計画などの過去のすったもんだあったプロジェクトについての話もゴシップ的な楽しさがある。営業と開発の確執やら、担当者不在で繁忙期にO(n**2)のアルゴリズムバッチ処理しなきゃいけなかった時の話やら、「本当にあったプログラマの怖い話」あるいは「日本式プログラマという種族の文化人類学的資料」といった感じ。文体もまさに2000年代初頭のインターネットによくあった、微妙にくだけた理系おじさん調。

癖はすごくあるけど、「こういうプログラマ界隈が主流だった」ということを少しだけ肌で感じられるだけでもとても面白い本だった。

しかし、これを読んでなお「プログラマになろうかな」と思い続けた読者が果たしていたのだろうか?